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2018年5月15日火曜日

シフトレジスタの罠

以前筆者が担当した製品で、バウンダリスキャン回路のテストパターンが、どう頑張っても通らないという事例が発生しました。

テストパターンのフェイルデータを取って解析してもらったところ、バウンダリスキャン回路の、シフトレジスタを構成するFFでホールドタイム不足が発生していたことが発覚しました。タイミング制約の設定抜けでした。


2018年3月1日木曜日

携帯電話向けASIC・テストタイム短縮が急務

筆者のキャリアを変える製品となった携帯電話向けASIC製品ですが、設計完了して試作評価も終わり、信頼度試験も終わって量産出荷開始となった後、さほど生産量も多くなく生産が収束しました。こちらは一番大きなキャリア向けの製品だったのですが、さほど数が出なかったのです。

しかし、他のキャリア向けの製品として、論理変更、ROM変更を施した展開製品の開発がありました。

こちらは、最初の製品で出た様々な問題をフィードバックして、開発はスムーズに進んだと記憶しています。

特性評価は、開発の実務を仕切ってくれた若い実務担当者に、評価結果のまとめ方、設計部見解の考え方、書き方を学んで欲しかったので、筆者が作成した評価結果まとめ(社内では特製認定書と呼んでいました)を参考にしてもらって、やってもらいました。

量産出荷スタートの後、色々と問題が出ました。

携帯電話ビジネスでは、生産数量の増減がとても急激に起こります。しかし、注文が急激に増えたとしても、工場の物理的な生産能力はすぐに増やすことはできません。そこで大事なのが、既存の設備で何とかできないかを検討すること。ことテストに関しては、時短、つまりテストタイム短縮です。

2017年12月24日日曜日

携帯電話向けASIC・試作評価〜私のキャリアを変えた製品のはなし

論理設計、レイアウト設計を完了して、製品開発はアートワーク工程、マスク作成、試作着工と進んでいきます。

この間およそ1ヶ月弱、ものによってはもっと早い場合もありますが、試作ロットが前工程を流れている間、評価チームや論理設計チームは、測定しなければならない項目の吟味等をしつつ、試作品の評価の準備をします。

ASIC製品では、電気的特性の社外保証項目が決まっているので、何を計るかはあまり気にしません。この製品でも、具体的な数値要求のある測定項目はあるものの、項目自体はどの製品でも測るものなので、あまり深く考えていませんでした。

少なくとも、評価を始めるまでは、そして最初の測定値を見るまでは・・・

2017年2月22日水曜日

国際救助隊出動す!・・・ん?

4回目のエントリー「レイアウト設計でawkのお世話になった話」の話の頃、ちょうど1992年から93年頃の、青森県五所川原市勤務の時代に遭遇した、量産立ち上げトラブルの「救助活動」のことを書こうと思います。

ASIC/ロジック系製品の設計拠点立ち上げを目的として、1992年の秋頃から、筆者を含めて3名が青森県五所川原市の田んぼの真ん中に立っていた事業所に転勤し、拠点立ち上げの準備として色々な設計環境整備とか、東京から飛んでくる指示に従って色んな作業をしたりしていました。

そんなある朝、東京から「青森から羽田経由で函館へ行け!今すぐに」という指示が筆者に飛んできて、急遽飛行機を手配して出張に出かけたのでした。

2016年11月19日土曜日

特性データはどうやって使う?〜テストの実際の最後

今まで何度かにわたってテストの実際をご紹介してきました。

テストの実際を始めるにあたって、テストとは製品出荷のための良品・不良品の判定と、その判定を行うための判定スペックの決定、及びそれに付帯する業務のことであると説明しました。

この判定スペックの決定にあたっては、実際に製品の特性データを測定して、そのデータを吟味し、社外に不良品を出さず、かつ本来良品とすべき製品を不良品と誤判定しないようなスペックを決定しなければならず、時としてスペック決定が難しい状況となります。どんな製品でも最低1項目や2項目はスペックの決定に悩むような項目があるものです。

今回はテストの実際の締めくくりとして、このデータの評価からスペックを決めるというところのお話を書きたいと思います。


2016年10月12日水曜日

発振器とかメモリーとか〜テストの実際5

DCテスト、ファンクションテスト、ACテストと、実際にテストってどうやってやっているのかをご紹介してきました。

回路には回路ごとにその回路のためのテスト方法があるので、とても全てを網羅することはできませんし、私もASIC/SOCという限られた製品分野での経験しかありませんので、私の経験からご紹介できるテストの話しも残り少なくなりました。

今回は、水晶発振器のテスト、そしてASIC/SOCのみならず、マイコン製品にも必ず搭載されているメモリーのテストをご紹介します。

2016年9月14日水曜日

ACテストって何でしょう? 〜 テストの実際4


今回は、ファンクションテストの回でも少し出て来た、ACテストについて少し詳しく書いてみたいと思います。

ここで言うACテストは、ACタイミングを測定するテストのことを指しますが、「テストの実際」を始めたころに出て来たDCテスト、そして今回のACテスト、なぜDCとかACと言うのでしょう?

2016年8月19日金曜日

機能試験(ファンクションテスト)〜テストの実際3

今回は、機能試験、ファンクションテストについて書きます。かなりの長文になると予想されますが、分割するのもいやなので、お許しくださいませ。

ファンクションテストは、LSIの論理設計時に論理シミュレーションに使用したテストベクタを、本物のLSIで実行させる試験です。このテストによって、設計通りの動作をするかどうかの確認ができます。そう言えば、テストベクタを実行させることを、慣用的に「パターンを流す」、なんて言ったりします。以下、テストベクタのことをパターンもしくはテストパターンと記載します。

ファンクションテストは、論理設計時に実施した論理シミュレーションの環境を、タイミングも含めてテスターに持って行くのですが、なかなか簡単に動かないことも多い、難易度のそこそこ高いテストです。しかもLSIの回路規模が増えて行くに従って、テストベクタの量も格段増えて、難易度と量から作業量も増えていき、私の場合はテスターで徹夜する一番の原因はこれだったと思います。ものによっては1000本を超えるパターンがありましたからね。

以下、色々と書いていきたいと思います。

2016年8月2日火曜日

第8回〜テストの実際(その2、電気的特性編)


今回は、前回お知らせしたテスト内容の詳細についての1回目、DCパラメトリックテスト(以下DCテストとします)という分類のテストについて、詳細を書きます。

DCテスト、このテストで測定される項目は、LSIの電気的特性の基本となるもので、外の部品とのインタフェースが取れるかどうかにかかわるものです。

今回はDCテストとして以下のテストについて詳細を書きます。

  • オープン/ショートテスト
  • 出力電圧(VOH/VOL)テスト
  • 入力/双方向/トライステートリークテスト
  • プルアップ/プルダウン電流テスト
それでは以下、話を進めていきます。

2016年7月27日水曜日

第7回〜テストの実際(その1、導入編)

半導体は、写真製版技術を使って、シリコンウエハ上に全く同じチップを数百個から千個分、繰り返し回路を焼き付けて作ります。そして、製造途中での良否は外観検査でしか判定できず、良品か不良品化の判定は、全ての工程が終わって、実際に回路を動かしてみないとできません。

この判定をすることをテストと読んでいます。「テスト」という単語はとても一般的な単語ですが、半導体設計製造の世界で「テスト」というと、主としてこのことを指します。

良品・不良品の判定をするということは、ここで不良を見逃すと、お客様のところに不良品が出荷されてしまうということから、とてもシビアな業務であると言えます。

判定のスペックを決めるための色々な業務として以下のようなものがあります。

  • 試作品評価による動作検証
  • 各種特性取得(DC特性、AC特性)
  • 取得したデータの処理とデータの吟味
  • 特性が設計目標値を満足しているかどうかの認定
  • 判定スペック決定
  • スペックを入れ込んだ量産テストプログラムの作成
  • お客様への製品納入時の選別条件のお約束をする納入仕様書作成
  • 量産工程への公式な製造仕様ドキュメントとして設計部が発行する製造図面の作成

これら、帳票類の整備などの様々な業務も含めた業務をテスティング業務と考えて、これらの業務全般がテスト担当者のミッションとなります。

さらに、大規模なLSIのテストを効率的に実施するための、様々な仕掛けを製品の中に入れ込んでおくテスト容易化設計のための様々なアドバイスを製品設計者に対して行うこともあります。

このテスト容易化設計は、大規模な製品を少ない時間で効率的にテストをするために必須の考え方で、この検討が行われていないと、量産工程の能力を不必要に落としてしまったり、最悪テストが出来ない、ということになりかねません。
業務範囲に関しては、会社によって異なるようです。上記は私が所属していた会社での例です。とある会社ではLSI設計者は一切テストにはタッチせず、試作着工後に設計ドキュメントとデータを以てテスト担当部署に業務移管する、という話も聞いたことがあります。
これから何回かに分けて、このテストに関する話をご紹介したいと思います。

2016年7月13日水曜日

第6回〜アナログテストでごめんなさい その2

アナログテストでごめんなさい、第2回目です。

今回は、テスト抜けがあって市場不良を出してしまった話です。

なぜテスト抜けとなってしまったのか、すでに全く覚えていないのですが、原因はともかくどのようなテスト抜けが起こっていたのかは覚えているので、ご紹介します。

LSIのテストは結構長い期間メイン業務としてやっていましたが、担当製品で明らかなテスト抜けが原因の市場不良を起こしてしまったのはこの製品だけです。

しかも、担当から外れていた時期に市場不良が出たので、後始末を他の方がやってくださって、20年近く経った今でも、お客様及び後始末をして下さった方には本当に申し訳なく思っています。