2017年2月1日水曜日

初めて量産出荷を担当した製品のはなし


 このエントリーでは、初めて自分が主担当で量産品の出荷立ち上げを担当した製品のことを書こうと思います。

今まで何回かに渡って特性評価について書いて来ましたが、それは実は今回のエントリーを書くための前準備でもありました。何せ、量産品の出荷の話となると、電気的特性の測定に関するいろんな事が出てくるので、事前に書いて置いた方が良いだろうと思ったのです。

会社に入って、業務実習という形で親会社の製品設計部門へと送り込まれ、256ピンのLSIソケットのハンダ付けから始まった筆者の技術者人生でしたが、第2回目のエントリーでご紹介した評価用LSIの機能・特性評価業務を経て、外部のお客様向けの製品を担当することとなります。

最初に担当した量産品は、とあるアーケードゲームの会社向けのCPU搭載ASICでした。ただ、出荷形態が通常製品と異なることや、当時参画していたCPU搭載ASICの製品シリーズの立ち上げ過渡期で、製品開発の道具立てがあちこちで不完全だったことなどから、普通ならしなくても良い苦労を色々と強いられた思い出深い製品です。

2016年11月19日土曜日

特性データはどうやって使う?〜テストの実際の最後

今まで何度かにわたってテストの実際をご紹介してきました。

テストの実際を始めるにあたって、テストとは製品出荷のための良品・不良品の判定と、その判定を行うための判定スペックの決定、及びそれに付帯する業務のことであると説明しました。

この判定スペックの決定にあたっては、実際に製品の特性データを測定して、そのデータを吟味し、社外に不良品を出さず、かつ本来良品とすべき製品を不良品と誤判定しないようなスペックを決定しなければならず、時としてスペック決定が難しい状況となります。どんな製品でも最低1項目や2項目はスペックの決定に悩むような項目があるものです。

今回はテストの実際の締めくくりとして、このデータの評価からスペックを決めるというところのお話を書きたいと思います。


2016年10月12日水曜日

発振器とかメモリーとか〜テストの実際5

DCテスト、ファンクションテスト、ACテストと、実際にテストってどうやってやっているのかをご紹介してきました。

回路には回路ごとにその回路のためのテスト方法があるので、とても全てを網羅することはできませんし、私もASIC/SOCという限られた製品分野での経験しかありませんので、私の経験からご紹介できるテストの話しも残り少なくなりました。

今回は、水晶発振器のテスト、そしてASIC/SOCのみならず、マイコン製品にも必ず搭載されているメモリーのテストをご紹介します。

2016年9月14日水曜日

ACテストって何でしょう? 〜 テストの実際4


今回は、ファンクションテストの回でも少し出て来た、ACテストについて少し詳しく書いてみたいと思います。

ここで言うACテストは、ACタイミングを測定するテストのことを指しますが、「テストの実際」を始めたころに出て来たDCテスト、そして今回のACテスト、なぜDCとかACと言うのでしょう?

2016年8月19日金曜日

機能試験(ファンクションテスト)〜テストの実際3

今回は、機能試験、ファンクションテストについて書きます。かなりの長文になると予想されますが、分割するのもいやなので、お許しくださいませ。

ファンクションテストは、LSIの論理設計時に論理シミュレーションに使用したテストベクタを、本物のLSIで実行させる試験です。このテストによって、設計通りの動作をするかどうかの確認ができます。そう言えば、テストベクタを実行させることを、慣用的に「パターンを流す」、なんて言ったりします。以下、テストベクタのことをパターンもしくはテストパターンと記載します。

ファンクションテストは、論理設計時に実施した論理シミュレーションの環境を、タイミングも含めてテスターに持って行くのですが、なかなか簡単に動かないことも多い、難易度のそこそこ高いテストです。しかもLSIの回路規模が増えて行くに従って、テストベクタの量も格段増えて、難易度と量から作業量も増えていき、私の場合はテスターで徹夜する一番の原因はこれだったと思います。ものによっては1000本を超えるパターンがありましたからね。

以下、色々と書いていきたいと思います。